マルタ島留学日記

2017年4月~8月:マルタ留学。最近はドラァグクイーンにお熱。

【ネタバレ・辛口批評】劇団四季の「リトルマーメイド」を観てきた感想

先日、大阪四季劇場で念願の「リトルマーメイド」を観劇しました。

半年ほど前からチケット争奪戦をくぐり抜けて、とっても楽しみにしていました。

ただ、個人的には期待値が大きすぎて、すこしツッコミどころが多い作品だったかと。。

 

ネタバレ・辛口ですが、思ったことを書き残しておきます。

役者さんとかは全然詳しくないし、みなさんのパフォーマンスは本当に素晴らしかったので、作品構成とかに「アレレ?」って思ったところをつっこんでいきます。

 

ネタバレしまくるので、未観劇の方、これから観に行くよって方は自己責任でどうぞ

登場順とか正確に覚えているわけじゃないので、前後しているかも。

 

前提として、

劇団四季で一番好きな作品は「ライオンキング」

・一番たくさん見たミュージカル作品は「オペラ座の怪人

・一般よりちょっとだけ上のディズニー好きだと思う(グッズじゃなくて全作映画館で見たりDVDやサントラ買ったりするベクトル)

・ディズニーの「リトルマーメイド」大好き

・関係ないけど、英語の原題をダサイ日本語にするの許せない派

 

本編の流れに沿って思ったことを書きますので、ここから記事ワンクッションします。

 

 

歌詞が本家(ここではディズニーアニメを指します。ガチ原作人魚姫じゃないです)とは違うことは知っていたし、ライオンキングのように舞台の曲もたくさんあるんだろうなということは予想していました。

 

【第一幕】

序章はOK。お披露目会でアリエルが不在。ここのお姉さんの曲大好き(役者さんみんなさすがの圧巻だった)。

 

場面は変わって、さっそく王子・エリックが登場。船乗りたちと歌を歌いながら航海をしている。彼の付き人(この人大好き)が「そろそろ嫁を見つけて、亡くなった父君の王位を継いでくれ」と言うんだけど、エリック王子は「王様になるつもりはない!ぼくは船乗りになるし、航海についていける嫁をさがす!」とか言いながら、「こんな豪華なものは必要ない!手で食べればいい!」とフォークを海に投げちゃう。

 

え?この人、船乗りになりたかったの?そしてごみを出すな

 

本家も、「豪華なものには興味ないね(わざわざ石像造らんといて~)!」みたいな感じはあったかもだけど、そんな小物っぽい目標はなかったよね?

 

で、お披露目コンサートをすっぽかしたアリエルはその間なにをしているかというと、サメに追いかけられていたわけではなく、人間のアイテムを漁って鳥(名前なんだっけ?スカ・・・スカットル?)にフォーク(エリックがポイ捨てたやつ)を見せていた。だいたい本家の流れと一緒。で、サメと闘わないから、フランダーの「僕は弱虫じゃない!サメもこわくないよ!」みたいなセリフがあるんだけど、アリエルが人間フリークすぎて「ここ(海)は私の居場所じゃない」発言をしたときに「エッ・・・!アリエルがどこかに行ったら寂しい・・・!べ、別にアリエルの事が好きだからじゃなくて・・・そりゃ、どちらかといえばあれだけど・・・モゴモゴ」みたいなことをフランダーが言うんですよね。

 

ガチ恋か?

 

なんでそこで言葉に詰まるねん。普通に「寂しいよ~!ヤダ~!」って言えばいいのでは?魚ぞ?お前は魚ぞ???

ちょっとその辺から設定とわたしの認識の食い違いが気になり出す。

 

あと、フランダーの役者さんが大人の男性(背は低い)だった?のが謎。成人じゃないかもだけど、声変わりした男性だったからね。女性をキャスティングするのは駄目なのかな?

 

そこからみんなが大好きな「part of your world」のシーン。歌詞がね~~~~気になるね~~~字余り感がすごい。本家の歌詞がそのまま使えないのは、大人の事情なのでしょうか?

あと、そのアリエルの秘密基地が全然イメージ(本家)と違う。ディズニーシーのリニューアル前のショーの方が確実に再現してた。余談ですがあれ、大好きだった・・・今のマーメイドシアターは海物語オートマチックすぎて・・・コスト削減・・・あと英語曲を使ってくれい・・・

 

で、あらしのよるに(あえてのひらがな表記)エリックを救出したアリエル。彼に惚れる。そこから毎日ウキウキで過ごしてて、お姉さんたちが怪しむ。ここのシーンの曲はオリジナルですが、楽しくてよかった。そしてあっさり人間に恋していることがばれる。なんか知らんうちにお父さんにもばれる。

パパバレは「アリエルが恋をしている→誰かな?→セバスチャンが口を滑らせる→激おこ」・・・っていうのが本家だったと思うけど、そういうシーンはなかったはず。

 

このあたりでアースラが登場。ここでまさかの衝撃発言。「実の姉を追放した・・・トリトンめ・・・」

まさかの親族設定だった。人魚とタコが。

アースラの説明によると、彼女は7人姉妹の末っ子(奇しくもアリエルと同じ)で、一番醜かったので親から邪険に扱われた。それを申し訳なく思った父親ポセイドンが、彼女に魔法の貝(破壊の魔力がある)を渡した。その貝殻の力で魔法が使えるようになったアースラは、長女から順に殺していった。残ったのはまだ赤ん坊だった弟のトリトン。赤ん坊だからと放っておいたら、いつの間にか王になったトリトンに追放された。もう一度私の海を取り戻す!!という動機らしい。

で、ポセイドンはアースラには貝殻を、トリトンには鉾を渡していて、アースラはそれがほしい。みたいな。

今の生い立ちを一曲歌にしていたのですが、ここのシーンの曲が、う~ん・・・個人的には好きじゃなかったかな~説明乙すぎるし、メロディが微妙かなあと・・・

 

一方、助けられた王子・エリックもあの声の持ち主を探す毎日。付き人のおじいちゃんが「もうすぐ王子の誕生日だし、国中から歌声の美しい女子を集めて、そこからお妃様を選びましょう」と提案。エリックも「きっと会える」と同意(四季オリジナルだ~~~!?)。

 

このあたりでアンダーザシーが入りますが、これはもうとても楽しいステージでした!カラフルで役者総動員のステージ。

 

次のシーン、トリトンは人間に恋しているアリエルにご立腹。「人間は残酷だ!お前の母親も人間に殺された!(そうなんだ!?)」「パパはなにもわかっていない!」みたいな親子ゲンカがあって、二度とそんなこと言うな~~~!ってパパが怒ってアリエルのコレクションを壊しちゃう。

 

すかさずアースラの手下のウミヘビ2匹がアリエルを誘惑しに来る。本家はウミヘビじゃなくてウツボなのですが、舞台版はウミヘビ。

 

で、「アースラ叔母様(アリエルがこう呼んでいる)」を訪ねる。このときすでにセバスチャンとフランダーはいません(ここポイント)。

そこで「おばさまの貝殻って・・・それがないとおばさまは死んじゃうってパパから聞いたわ!」っていうトンデモ設定を教えてくれるアリエルと、「そ、そんなワケなァ~い・・ははは」ってあきらかに挙動不審になるアースラ叔母様(・・・)。

アースラのあの有名な歌とか一悶着あって、声と3日間の人間の足の取引に応じるアリエル。本家だとそれを阻止したいフランダーとかいるんだけど、そういうリミッターみたいなのはなくて、ただアースラがひたすらトリトンをこき下ろしていて、アリエルがそれに同調するみたいな勢いでサインしちゃう。ここからはもう原作通りで人間の足を手に入れたアリエルが浜辺に打ち上げられて第一幕が終わり・・・という。

 

このトランスフォームして海中から陸をめざして泳ぐシーンとか、アリエルがエリックを助けるシーンとか、本人じゃなくてスタントで早替えになってると思うんですけど、シルエットがとってもきれいでさすが劇団四季だな~って思います。

 

熱く語り過ぎたので、第二幕からはあっさりいきたい・・・

 

 【第二幕】

声を失った代わりに、人間の足を手に入れたアリエル。

フランダーとセバスチャンが遠くから見守っている(どこで出てきたんや)と、スカットルがいつもの調子で登場し、「イメチェンした?ヘアスタイル?」とボケ。これは本家通り。「魔女と取引したんだ!声の代わりに人間の足を手に入れたんだよ!!」とセバスチャン。あれ?タイミング早くない?本家ではもう少しスカットルがボケ倒してたはず。

 

ていうか、なんでそれ知ってる???(本日一番のツッコミ)

 

ウミヘビに誘惑されている時点で、このカニと魚いなかったよね???

 

なんで知ってる???

 

そしてうまく歩けず自信を失うアリエルを鼓舞するスカットルとカモメたちの曲。これがめっちゃ長い。タップダンス付き。

もうこの時点で「薄めてきた~~~~」って感じ。役者にそれぞれ見せ場を・・・って考えるのはわかるけど・・・

 

そうこうしてると、エリックが浜辺でアリエルを見つけて保護してくれる。ちなみに、彼の愛犬は舞台では登場しませ~ん

 

喋ることが出来なくて、「かわいそうに」と同情されながらお風呂に入れてもらうアリエルですが、ちょいちょい歌います。

 

2幕からは心情を歌い上げるのです。

その間、背景の人物はストップします。

 

食事シーンで、コックとセバスチャンのバトルも展開しつつ、1日目からダンスに誘われる。すでにいい感じの雰囲気のお二人。ここのシーンはエリックのソロでした。顔が近づいて・・・おっ?というところでアースラが貝殻に録音したアリエルの歌声がどこからともなく再生され、エリックは「もう遅いから!じゃあ!」って言いながら声の主を探しにいってしまう。

 

海の中では、アリエルが行方不明になって焦る王様とお姉さんたち

 

2日目、本家でもあった街デートとキスガのシーン。街デートは省略。ここ好きなのに~

Kiss the girl もやっぱり歌詞がな~~~船の演出はオペラ座には劣るけど、好きな感じだった

しかし、気になるのが

鳥歌ってないか。うまいんですけど。

どんだけ鳥に見せ場あるんだよ。(べつに鳥アンチじゃないです)

 

良い雰囲気になるけど、ウミヘビが邪魔をして、キスできずに3日目を迎える・・・「明日は僕の誕生日なんだ。お妃を選ぶんだよ」というエリック。う~~ん残酷!!

 

夜、ひとり部屋で悶々とするアリエルが歌い始める。浜辺で「やっぱあの子気になるわ~明日になったらお別れせないかんのか~」と歌うエリック(そんならもうアリエルでいいやん)。「僕は非力だけどどうかリトルマーメイドに神のご加護を」と歌うセバスチャン(舞台センター)。終盤で上手から「傷つけるつもりじゃなかった~」と歌いながら、ワイヤーに吊られて出てきたトリトンここで我慢ができなかった。四季によくあるカルテットとかの形なんだけど、ぐちゃぐちゃすぎるし、カニいる????

せめて父娘と王子の三つ巴なら受け入れられたけど、カニの独白はいらんし、その中で一人宙ぶらりんのトリトンの存在も面白すぎてプルプル震えながら鑑賞しました。

 

お妃様を決める舞踏会?の当日、「わたしを選んで!」と国中の女子がエリックに詰め寄る。わ~~~っとなったところで、アリエルが登場!「歌えるのか・・・?」とみんなの視線が集中し、ステップを始めるアリエル。嘲笑する女子たちですが、エリックは「とっくに君の心の声は聞こえていた!」とアリエルを選ぶ。さあキスしよか~というところで、あのアリエルの歌声が再生!一瞬とまどうエリックですが「もう彼女と生きると決めたんだ!」と。あ、そうなん?結構妥協できる感じ?

わたしはアリエルの声をまとった美人のアースラがいつ出てくるんだとわくわくしてましたが、その瞬間、セットの後ろからタコの頭と足が!!!!

 

そして2人を引き離す。「日没だよ~~残念~~~~~!」

アリエルはまだ喋れませんが、海に引きずり込まれて人魚に戻る。

トリトンが出てきて、「娘を返せ!」「契約してるし無理!」の姉弟ゲンカ。ここで「トリトンが代わりに契約するなら、アリエルは開放してあげる」と、アースラの真の狙いが。娘可愛さにサインを上書きするトリトン王。ここは本家と同じですよね。

そしたらとりあえず触手?ウミヘビ?(記憶があいまい)に縛られて動けなくなるトリトン王。喜ぶアースラの隙をついて、魔法の貝を奪うアリエル!焦るアースラ!だってこれを壊されたらアースラは死んじゃう。

貝を手にすると、声が戻るアリエル。なんかお粗末な演出だな~と思わなくもないけど

「これを壊したら・・・!」「ちょっと待ちな!あんたのパパは間違っていただろう!?人間の世界はどうだった!!?」「美しかった・・・とても・・素晴らしかった・・・」「パパの言うことなんて信じられるかい!?」「たしかに・・・」「いい子だからその貝をおばちゃんに渡しなさい!!」と、言いくるめられそうになるアリエル。

 

え~~~~~こんな、目の前で自分の代わりに呪いを受けてくれたパパを、今も苦しんでいるパパを目の前にして、そんな理由で気持ちが揺らぐってどうよ~~~~~

舞台のトリトン王とアリエルの関係は、ひたすらに愛が一方通行でアリエルの動機のすべてがわりと「親に対する反抗心」からきていることがとても残念でした・・・アリエルが恋をして、パパにお花を挿してあげるシーンとかも大好きだったのに、舞台ではカットされてるし・・・

 

そして口を滑らすアースラ「パパは嘘ばかりだよ!人間の世界が残酷だと嘘をついていただろう!あんたの母親は私が手にかけたのにね!」と。それを知ったアリエルは「あんただったのね~~~!この人殺し~~~~!」と叫びながら、魔法の貝を舞台外に放り投げる、貝殻の割れる音、響くアースラの断末魔と解放されるトリトン王・・・

 

どっちが人殺しだよ。

 

「人殺し~~~!!!!」といいながらさくっとヴィランを葬ってしまうヒロインってアリか?

わたしがディズニー作品が好きな理由のひとつは、「ヒロイン・ヒーローがとどめの一撃をしない」ということなんです。「アナ雪」のハンスみたいに自爆して社会的に死ぬか、死んだヴィランでは「美女と野獣」のガストンも見逃してもらったのにだまし討ちして結局自滅するし、「ラプンツェル」のゴーテルも魔法の髪が効力を失ったことのショックでよろめいて足を踏み外して、魔力がなくなって砂になる・・・。そういう「新しい悪をつくらない」クライマックスが大好きでした。だから、ヒロインが直接手を下してしまうこの結末はちょっとどうなのかと。

 

それに、本家の「リトルマーメイド」だってだれも直接的にアースラを殺してないですよね?あと、リトルマーメイドがディズニープリンセス作品のターニングポイントだったとわたしが感じるのは、アリエルにもエリックにも自我があって、お互いが支え合いながら未来を切り開いたところなんです。

アリエルが人魚とわかって、海に連れ戻されてからエリックは「また彼女を失うわけにはいかない!」とボートを出して、アースラに向かっていくんです。勇敢にも海中のアースラめがけてモリを投げる。難破船でエリックがアースラを刺すけど、最終的にアースラ自身が引き起こしたストームで雷に打たれて消えてしまう・・・

そういう、共同作業があったからトリトンだって2人を認めてくれたし、エリック王子が今でも根強い人気を誇るキャラなんだと思うんですが・・・

 

そう、この間、舞台のエリックはまったく介入しておらず、アリエルがさっさと貝を割ったのでみんな呪いが解ける。仲直りした父と娘。王様の力で人間の足を手に入れたアリエル。地上でウワワ~どうしよってなっているエリックのもとに、歌いながら人間の姿で登場!

「やっぱり君だったんだね!」最後は船上結婚パーティーでめでたしめでたし!

 

さて、ここで疑問がひとつ

 

鳥、要った?

 

本家では非常に重要な役目を果たすスカットル。彼が飛べたからあの美女はアースラだとわかったし、首にかけていた貝殻が割れてアリエルが声を取り戻したのも、スカットルがカモメアタックをしてくれたおかげ。クライマックスでなくてはならないキーキャラクターだったので、第2幕でいきなりタップダンスしても大目に見てたんですよ。終わってみたら、「エッ?これ鳥の存在なくてもよかったんじゃ」っていう構成になってて涙ちょちょぎれたね。

 

なんせあの美女アースラ好きとしては、クライマックスの持って行き方がお粗末すぎたな、と。あとアースラの肉親設定も必要だったのだろうか

 

あと、舞台セットとかの話ですが、ちょっとチープかも。役者数も少ないし、ライオンキング見ちゃった人だと物足りないと感じそうです。

役者さんたちのパフォーマンスは最高でしたので、1回は観てもいいけど、リピはないかな~というところでした。

四季リトルマーメイドはブロードウェイ公演ではなく、ヨーロッパ公演を買い取っているそうなので、そのあたりが詰めが甘いと感じる原因かも。

 

結論、

元のディズニー作品を知らない人なら楽しめる。本家好きは別物と思ってみるべし。

 

長々とお付き合いいただきありがとうございました!

あくまでもわたし個人の感想です。ディズニーも劇団四季も大好きです。